年度末のこの忙しい折に、何をトチ狂ったのか1954年に制作・公開された初代ゴジラと、2016年のシン・ゴジラを観比べてみた。
1958年生まれの僕にとって、もちろん初代ゴジラは追体験だ。
確か6歳の頃の年末だったと思う。
白黒フィルムの中で吠え、暴れるゴジラはそれはそれは怖い代物だった。
戦争の傷跡が未だ癒えていない1954年。
この映画にもその戦争の暗い色が色濃く投影されている。
東京湾にゴジラが上陸し、人々が逃げ惑う姿は太平洋戦争末期の日本各地での空襲そのものの姿であっただろうし、ゴジラによって母親を亡くした幼い少女の慟哭はあの戦争の時代の象徴でもあったのだろう。
そして何よりも核に対する警鐘がこの初代ゴジラの大きな特徴だ。
当時社会問題となっていたビキニ暗礁の核実験に着想を得て制作された初代ゴジラは「核の落し子」「人間が生み出した恐怖の象徴」として描かれていた。