僕が村上春樹を読んだのは「ノルウェーの森」まで。
いや、「ダンス・ダンス・ダンス」までは読んだか。
それ以降の氏の作品は何ひとつ読んでいない。
「騎士団長殺し」はもちろん「IQ84」もご多分に漏れずだ。
正直言えば、初期の彼の作品、特に「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」の群像3部作は今でも好きだ。
あの生活感の無さ、そしてライフスタイルは当時の世相と相まって、僕の心にピタリとはまった。
MJQを聴きながらパスタを茹でる、あるいはレーナード・バーンスタインを聴きながら時間をかけて髭を剃る、なんて事は当時の僕にも今すぐに出来そうな事だったのだ。
今では笑い話だが、物語の中の主人公の真似をして、とあるバーで落花生の皮を床にまき散らしてマスターに叱られた事もある(笑)
そんな僕も、いつしか氏の作品を読まなくなった。
なぜか急速に興味を無くしていったのだ。
それは氏の作品の中の「僕」と、実際の僕自身が乖離を始めたの結果なのだろう。
現実世界には「鼠」も「羊」も登場しない。
それが誰かへの比喩や投影であったとしても、少なくとも僕の前には存在しない。
それを知った僕は、1973年のピンボールをもはや弾かなくなっていたのだ。
が、今でも思うのは
氏の作品は、文字の後ろにいつも音楽が鳴っていた。
それも片岡義男のような押し付けの音楽ではなく、極々薄く・・・それはあたかも最初からそこにあるように当たり前に流れていた。
果たして騎士団長殺し」や「IQ84」もそういう世界観なのか。
暇ができたら一度読んでみたいとは一応思っている。
まったくやれやれである。
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