どの国の、どんな古い書物にも、月は必ず登場しています。
Spiritualな事には、まったくと言っていい程の門外漢なのですが、そんな僕でさえ、月には何か神秘的なものを感じます。
うんと若い頃、部活動や遊びで遅くなった時に、月明かりの中を帰るのが好きでした。
街中では分かりにくかった月明かりも、15歳の時に引っ越した郊外では、まるで身体中に降り注いでくる程の月明かりだったのです。
青く実りを迎えた稲穂は、月明かりに照らされて光る海のよう。
家々の屋根が、濡れたように鈍く輝いています。
そんな中、さっきまで一緒にいた彼女の温もりを反芻しながら、ゆっくりと自転車を漕ぐのが好きでした。
別れのときは雨の日が似合います。
幸せの中にいる時は、陽の光が似合います。
愛しい彼女との暫しの別れには、月の明かりが最も似つかわしいのでしょうか。
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