見覚えのある、表紙に染みついた滲みのかたち。
そう、「あの頃」の僕が書いていた日記だ。
さぞかし、恥ずかしい事を書いていることだろうと思い、ページをぱらぱらと捲ってみたのだが
意に反して、案外マトモな事を書いているのには少々驚いた。
但し、ページの所々に書いてある「詩」はいただけない。
妙に肩の力が入っているのやら、自己満足の極みのようなものやら
それらは、あまりにも幼く、そしてあまりにも混迷している。
しかし、少なくとも「今の僕」よりも、はるかにピュアで純粋な「あの頃の僕」がいた。
抱え込んでいる諸所の問題を解決できないでいる僕や、迸る感情を持てあまし
途方に暮れている僕が、 確かにそこに存在していた。
懐かしさよりも、「あの頃の僕」を抱きしめてやりたくなる。
あの時、空を見上げた僕の目に映ったであろう「あの日の空」が
行き場のない、もどかしい愛の行方を想いながら、タメイキ混じりに眺めた教室の外の風景が
亡霊のように今、時を超えて蘇る。
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